大規模修繕工事とはどんな工事でいつ必要?塗り替えのプロが解説します!
マンションの経年劣化は、塗装工事や防水工事など、計画的な修繕によって保たれます。そんな大規模修繕工事はどんな工事で、いつ必要なのか、どんなふうに劣化するのか、工事中の注意点などもご紹介します。
・大規模修繕工事はいつ必要なの?
・大規模修繕工事はどんな工事なの?
・マンションはどんなふうに劣化しているの?
・大規模修繕工事中に気をつけることは?
大規模修繕工事とは?
マンションにおける大規模修繕工事とは、長期修繕計画(※国土交通省よりガイドラインが出されています)の中で計画されている、大規模な修繕工事のことを指しています。将来予想される修繕等を計画して行われます。
マンション大規模工事に関する実態調査(令和3年度)によると、大規模修繕工事の平均修繕周期は12~15年が最も多く、70%ほどが、この時期に大規模修繕工事を実施しています。
大規模修繕工事の主な内容は?
大規模修繕工事は足場を架ける大掛かりな工事です。外壁などから想定していたよりも多くのひび割れや破損箇所が見つかることもあるので、調査をしながら補修を進めていきます。
主な工事内容はには以下のようなものがあります。
わかりやすくまとめると、
- 共通仮設工事・養生…共通仮設の設置やメッシュシートなどで養生をします。
- 足場仮設工事…足場を組み立てる作業をします。車両の搬入があります。
- 躯体の調査、躯体の補修工事…下地の調査や補修工事を行います。
- タイル補修工事…タイルの補修工事を行います。
- シーリング工事…シーリングの改修工事を行います。
- 外壁洗浄工事…外壁洗浄を行います。
- 内外壁塗装工事…内外壁(バルコニー、共用部分、他)の塗装工事を行います。
- 鉄部塗装工事…鉄部塗装工事を行います。
- バルコニー床防水工事…バルコニー床防水工事を行います。
- 屋上、共用廊下防水工事…屋上、共用廊下の防水工事を行います。
- その他工事…その他、必要な工事を行います。
※マンションによって外壁の種類や劣化の状態が異なります。
これだけの大規模な工事になるので、資材置き場の確保や工事車両の出入りがあります。必要に応じて養生を行ったり、外壁にシートがかかるなど、居住者の方にも影響が及ぶので工事中はご協力していただくことが多くなります。
マンションではどんなふうに劣化しているの?
大規模修繕工事では劣化している箇所を補修していきますが、実際に足場を架けてから外壁補修箇所を調査していきます。外壁の調査費用も大規模修繕工事の内容に含まれています。想定よりも補修箇所が多くなることもあるので気をつけてください。
また、足場を架けなくても建物の状況を確認できる箇所もあります。目視だけでも、わかる部分があるので、普段から建物の状態をチェックしておくようにしましょう。
例えば、「鉄部塗装」の部分。鉄部の剥がれや錆などが見られる場合には、塗り替えが必要です。→塗膜をきれいに除去した上で、再塗装をします。
長期間にわたって水漏れ(雨漏り)などが放置されていると、漏水の跡が残ってしまい見た目も悪く、浸水していることもあります。→漏水の対応をした上で、天井のボードを張り替えたり必要な修繕をします。
仮に、タイルが落下し、通行人にケガを負わせたという場合、所有者の責任が問われます。外壁の劣化はマンション自体の寿命にも影響を及ぼします。建築基準法でも10年毎に外壁の全面打診調査が義務付けられています。
→外壁やタイルの欠損が多く見られる場合には、補修や張り替えなどを行います。
大規模修繕工事中の注意点
最後に、大規模修繕工事中の注意点をご紹介します。騒音や振動が発生する工事や、防犯面にも気をつけなければいけません。
【大規模修繕工事中の注意点】
・躯体補修工事やタイル補修工事では騒音や振動が発生します。
・外壁の洗浄時や内外壁塗装工事、バルコニー防水工事時にはバルコニーが使用できない期間があります。
・窓廻りの作業には網戸を取り外して工事を行うので、取り外した網戸を保管が必要になります。
・工事中は外部からの侵入の可能性が平常時よりも増えてしまうので、防犯面には気をつけましょう。
・必要に応じて落下防止のため出入り口付近に朝顔養生をすることもあります。
・工事車両の出入りが多くなるので特に小さなお子様は注意が必要です。
マンションの大規模修繕工事まとめ
マンションの大規模修繕工事は、大変だなと感じられるかもしれません。しかし、計画的にメンテナンスをすることが、マンションの資産価値を保つことになります。
お住まいの方のご協力も欠かせませんが、トラブルなくスムーズに施工できるように弊社でも防犯管理や品質管理にも力をいれています。
近年、自然災害や地震が増えています。地震前に大規模修繕工事を行った場合、報告書を保管しておけば、地震保険の申請にも役立ちます。地震後であれば、躯体の調査をしっかりと行い、補修をしておくことで安心にもつながります。このようにさまざまな知識を身につけておくことが大切です。